誌上授業 第1回 ―関係代名詞―(6)
またまた、前回までの続きです。基本内容の章は今回までです。
これまでの第1章から第5章までのお話が、おおむね中学校レベルの基礎内容になるかと思います。
最後に関係代名詞の文の英作文、つまり関係代名詞を使って英語の文を一から完成させてみましょうという練習をしましょう。
◆第6章:関係代名詞を使った文の英作文
例題① 次の日本語を英文で表しなさい。
「ホワイト先生(Mr. White)は、オーストラリアから来た先生です。」
こうした問題を考える際に、もちろん大まかな文構造を頭のなかですぐに思い浮かべることが出来れば、関係代名詞の考え方がしっかり身についていると言えるのですが、実際にはなかなか難しいのではないかと思います。
では、こうした日本語を英語に直すために、重要なポイントは何でしょうか。
それは「日本語でみた主語、述語」です。
と言うと「先生はまーたそういう文法用語を使って・・・。」という人がいますが、よく見て下さい、「日本語の主語、述語」です。
何となく国語のお話になりそうですので、あまり詳しいお話はここでは省きますが日本語(国語)の主語、述語については小学校で学習したことですね。
主語とは「~は、~が」にあたる部分(正確には文節)、述語は「~だ、~です」にあたる部分のことです。
それでは、純粋に日本語の文として、先の文を見てみるとどうでしょうか。
「ホワイト先生は、オーストラリアから来た先生です。」
この文の日本語における主語はもちろん
「ホワイト先生は」
の部分、そして述語は
「先生です」
の部分ですね。
これらの主語、述語だけで文を作ると
「ホワイト先生は先生です。」
「当たり前やん!」というツッコミは置いておいて、これが日本語の文において最も根本的な構造である主語、述語のみの文です。
それでは、残りの「オーストラリアから来た」という部分は何なのか。
これはいわゆる修飾語というやつですね、そして被修飾語は「先生です」の部分です。
被修飾語というのは「オーストラリアから来た」の部分が、どの文節を修飾しているのかを表す語ですね。
こうして、日本語で考えると
主語=「ホワイト先生は」
述語=「先生です」
修飾語=「オーストラリアから来た」(述語の「先生です」を説明している)
という日本語の構造がつかみ取れます。
「あのさあ、英語の文作りたいのに国語の文法の話してどうするん?」
という人、あわてずに(笑)
今回わざわざ、国語のお話を持ち出したのは
英語の関係代名詞を使って人 / モノを説明する部分というのは、日本語で言えば修飾語にあたる部分である。
ということを理解してもらうためです。
つまり、これから英語で文を作るときに、関係代名詞を使って書く部分というのは修飾語=「オーストラリアから来た」の部分であるということです。
それでは先行詞はどれにするのか、それは日本語で言えば被修飾語にあたる部分です。
先の例では被修飾語は、「先生です」の部分でした。
要するに、英語の関係代名詞と先行詞というのは、日本語での修飾語、被修飾語であると言っても過言ではないということです。
これを踏まえて、先の例で英文を作ってみましょう。
「ホワイト先生は、オーストラリアから来た先生です。」
修飾語にあたる部分を関係代名詞を使って説明し、被修飾語を先行詞にするという構造は見えてきたかと思いますがそれを実際の英文にする場合は、修飾語、被修飾語の部分から考えるのではなく、日本語における主語、述語の部分から考えてみると良いかと思います。
この日本語文では、
主語=「ホワイト先生は」
述語=「先生です」
でした。つまり「ホワイト先生は先生です。」という文を最初に作ります。
Mr. White is a teacher.
中学1年生でも書ける文です。
さてここから、改めて先ほどの修飾語(関係代名詞を使って書く部分)と被修飾語(先行詞)の構造を確認しておくと
修飾語=「オーストラリアから来た」
被修飾語=「先生です」
でしたね。
従って、「先生です」にあたる”a teacher”を先行詞として、その後に関係代名詞を置きます。
今回は人にあたる”a teacher”が先行詞になりますので主格の関係代名詞の文であれば”who”を使えますが目的格の関係代名詞の文では”who”は使えません。
もちろんこの段階で判断できればたいした実力の持ち主であるということがいえるのですが、難しければ無理にここで判断する必要はありません。
よって関係代名詞はいったん、”that”を使っておきましょう。
Mr. White is a teacher that [ オーストラリアから来た ].
ひとまず、日本語で大まかな構造を書いておきます。
さて、もちろん [ オーストラリアから来た ] という部分も英語に直さなければいけませんが、これについては [ オーストラリアから来た ] のはまさに先行詞の”a teacher”その人ですから今回は関係代名詞のあとにすぐ、動詞をつなげれば良いことになります。
文を完成させると
Mr. White is a teacher that [ comes from Australia ].
ですね。
もちろん英文で答える段階では [ ] は書かなくても良いですので
Mr. White is a teacher that comes from Australia.
となります。
“that”のあとに置いた動詞(”comes”)に「三単現のs」がついているのは大丈夫ですね。
先行詞が”a teacher”だから(三人称単数)だからです。
更に、この文は結果的には関係代名詞のあとにすぐ動詞が続く主格の関係代名詞の文であることが分かりましたので関係代名詞の”who”が使えることがわかります。
もちろん”that”のままでも構いませんが、”who”を使うほうがより良いかと思いますのでここは”who”をつかって
Mr. White is a teacher who comes from Australia.
とする方がよいことが分かりますね。
もう一つ、例題を見ておきましょう。
例題② 次の日本語を英文で表しなさい。
「これは、私が昨日受け取った手紙です。」
日本語の主語、述語の関係と修飾語、被修飾語の関係を見ると
主語=「これは」
述語=「手紙です」
修飾語=「私が昨日受け取った」
被修飾語=「手紙です」
という構造ですね。
文全体の述語は明らかに「手紙です」になりますので「私が」を主語としてしまうと、主語、述語の関係が「私が手紙です。」になってしまいます。これはマズいですね。
また、修飾語というのはふつうは一文節単位で考えますが、今回は
修飾語=「私が昨日受け取った」
という風に、複数の文節をまとめて修飾語と考えましょう。
国語で言えば修飾部という考え方に似ていますね。
それでは英語に直していきましょう、まずは主語と述語からですね。
This is a letter. (これは、手紙です。)
ここまでは簡単な文です。
そして、被修飾語を先行詞にして、その後に修飾語である「私が昨日受け取った」の部分を関係代名詞を使って作ります。
今回、先行詞は”a letter”になりますので「モノ」を表す語です。従って関係代名詞は主格、目的格であってもwhichが使えそうですね。
This is a letter which [ 私が昨日受け取った ].
文構造としてはこんな感じです。
それでは、[ ]内も英語に直してみましょう。
This is a letter which [ I received yesterday ].
[ ] 内については、『昨日』のお話になっていますので過去形を使う必要があります。
これは、もとの”This is a letter”の部分が現在形であっても、過去形にする必要があります。
よって
This is a letter which I received yesterday.
が正解です。
今回扱った文については本当に基本的な文ですので、定期テストレベル、更には高校入試レベルになると当然ながら更には発展的な問題も出されます。
しかし、難しい問題であっても今回ご紹介した解き方は十分に活用してもらえるかと思います。
難しい問題だからと言って、「何か難しい解き方があるはずだ・・・。」と考えるのではなく、難しい問題ほど、より「基本に忠実に」解けないかと考えてみることはむしろ重要なのではないかと思います。
今回までの内容が、一通りの関係代名詞の基本的な文法内容の説明になります。
次回以降は、応用内容となりますのでハイレベルな高校を受験しようと考えている高校受験生の方、あるいはもうすでに高校生でいらっしゃる方のみご覧頂ければと思います。
恐らくは一般的な公立中学校の定期テストレベルでは出題はされないと思います。