誌上授業 第1回 ―関係代名詞―(7)
相も変わらず、前回までの続きです。今回からは応用内容に入ります。
◆第7章:【応用】目的格の関係代名詞
今回からは、関係代名詞のお話の応用内容となります。
レベルで言えば難関高校受験レベル~高校内容の英語初級レベルです。
従って、偏差値60未満の公立高校を受験するという方にはもしかすると必要のないお話かもしれません。
中学校の定期テストにおいても出題される可能性は限りなくゼロに近いです。
さて、目的格の関係代名詞については第4章でお話しましたが、第4章でこんなことを申し上げたかと思います。
『先行詞が”The girl”、つまり人なので関係代名詞は"who"が使えると思うかもしれませんが、今回は関係代名詞"that"を使います。
どうして"that"を使うのか。それは"who"が使えないからです。それはそういうもんなのです。
(ではどうして"who"が使えないのか、そこまで気になる人は『【応用】目的格の関係代名詞』の章をご覧ください。)』
今回は正に、このお話から始めましょう。
さて、この章を読んでいる皆さんは名詞 / 代名詞の格変化はご存知でしょう。
つまりは主格、所有格、目的格ということです。所有代名詞については今回は省略します。
例えば、実際の人の名前や、普通名詞で見ると主格、所有格、目的格の変化は
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
Tom Tom’s Tom
my sister my sister’s my sister
my brothers my brothers’ my brothers
などです。
この格変化については代名詞のお話になってしまいますので、ここではあまり詳しくはお話しませんが、
重要なのは、"who"や"which"という関係代名詞についてもこうした格変化が存在するということです。
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
who whose whom
which whose which
"which"の所有格についても、"whose"という関係代名詞が使えます。
"who"についても是非、活用を全部覚えておいて下さい。
特に、"whose"という単語についてはこの表を覚えておくと
Whose bike is this?
などの文で出てきた"whose"という単語もその正体がわかりますね。
そして、関係代名詞というお話で申し上げると、第4章で扱った目的格の関係代名詞の文では関係代名詞についても目的格のものを使わないといけなかったということです。
例えば、第4章のこの文で見てみましょう。
The girl that I met yesterday is Miki.
この文においては関係代名詞は"that"しか使えません、そういうものです。
と半ば無理やり?に説明してしまいましたが、これも"who"という単語の格変化をしっかり理解していれば
The girl whom I met yesterday is Miki.
という文が正しいことが分かります。
関係代名詞の後に主語、動詞が続く目的格の関係代名詞の文で、特に先行詞が人を表す語の場合は関係代名詞は"who"では無くて"whom"を使うということが重要です。
また、先行詞がモノを表す語の場合は関係代名詞は"which"がそのまま使えます。
これは"which"の格変化が主格と目的格で同じ"which"という形であるからです。
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
which whose which
でしたね。
つまりは、先行詞がモノのときは第2章で扱った主格の関係代名詞の文でも第4章の目的格の関係代名詞の文でも同じ"which"を使えるということです。
よって、主格、目的格の関係代名詞の文においては先行詞が人を表す語であるときのみ、その使い分けに気をつけましょうということです。
余談
先に説明したとおり、目的格の関係代名詞を使った文において、先行詞が人を表す語であるときは関係代名詞は"whom"を使うということでしたが、
口語(話し言葉)においては実は最近は"whom"という単語はもはや使われなくなってきているという調査結果もあります。
ご存知の通り、もちろん日本語にも話し言葉と書き言葉があり、私たちは普段から何気なく使い分けていることでしょう。
同様に英語にも、話し言葉と書き言葉の区別は存在し、きっちりとした書き言葉では"whom"という単語はまだ使われてはいるようですが、
話し言葉では"whom"ではなく普通に"who"を使う場合が増えてきているようです。
しかしながら、日本で習う英語はその賛否はともかくとして書き言葉を中心に習うことになりますので、
「会話では使わへんもん!」と言って"whom"を使うべき文で"who"を使ってしまうとテストや入試などでは不正解とされてしまいます。
(学校の定期テストでも、話し言葉で解答を書くと先生に怒られますよね(笑))
一応はこうした「変化する言語」としての英語の性質も知識として知っておいてもらいつつ、
学校の勉強レベルでは「求められている答え、問われている答え」をしっかりと答えるという姿勢もまた、重要であるといえます。
応用編についてはもう1回分、お話しましょう。