誌上授業 第2回 ―現在完了―(3)
最後に、簡単なまとめとして応用内容を少し紹介しておきます。
◆第6回:過去完了形
会話、とりわけ日本語の会話では、「過去の1点までずっと続いていたこと」や、
「過去から見てさらに過去にさかのぼったこと」を何気なく表現することもあると思います。
例えば
「私、2年前までずっとピアノ習ってたよ。」
ですとか
「僕は今日学校で、昨日のサッカーの試合のことを友達と話しした。」
などです。
前者は2年前という過去の時点からピアノを習っていたのは更に過去の話であり、
後者は今日の学校であった会話が過去のお話、そこから更にさかのぼって昨日のサッカーの試合のことは過去のさらに過去のお話ですね。
日本語では、そうしたお話についても過去の表現の一環として表すかと思いますが、
英語では過去1点の話と、それ以前の話とではどちらが昔の話なのか?
をしっかりと区別して、過去形とはまた違った書き方、表現をします。
それが過去完了形と呼ばれるものです。
過去完了形については、詳細は高校以上の英文法で学習しますので今回は詳細な解説はしません。
簡単に形式だけ説明しておくと現在完了がhave / has + 過去分詞で作るのに対して、
過去完了はhad + 過去分詞という形になります。
但し、この過去完了形については公立中学校の定期テストででも、また公立高校入試にも絶対に出題されませんので、
高校入学後にしっかりと学習してもらえれば良いのではないかと思います。
今むしろ重要なのが、こうした表現の仕方もまた別にあるということを知識としてしっておいた上で、
より現在完了形、過去形についての理解を深めていくということではないかと思います。
誌上授業 第2回 ―現在完了―(2)
遅くなりましたが、前回の続きになります。
◆第4回:現在完了形の文でよく使う表現 / 使えない表現
現在完了の文は「昔も、今も、同じ状態である。 / 同じ動作が続いている。」という内容の文を表すときに用いる文法である。
というお話は前回しました。
それは上の図でもよく理解してもらえるかと思います。
図では、現在完了形は赤い矢印で表していますがその始点(矢印のはじめの部分)を強調したり(継続用法)、過去から現在に延びる矢印のなかで何回分かを強調したり(経験用法)、むしろ矢印の終点を強調したり(完了用法)など、各用法において様々な補足をするために、様々な表現が用いられます。
ここでは、各用法ごとにその表現を見ていきましょう。
① 継続用法
継続用法では、文の最後に「~の間」や、「~から」という意味の語句を書いて「いつから継続しているのか」という起点を強調する場合が多いです。
「~の間」という表現は”for ~”、「~から」という表現は”since ~”という語を使います。
・”for”を使う表現
普通、”for”という単語は、(=~のために)という意味で使われますが、現在完了形の文で、始点を決めるために使われる”for”については、(=~の間)という意味になります。
この”for”の後には、期間を表す語句が続きます。
for a week(=1週間) for two hours(=2時間) for three months(=3ヶ月間) for four years(=4年間) for a long time(=長い間) |
・”since”を使う表現
sinceについては、現在完了を習うまではなかなか使う機会のなかった単語かもしれませんが、完了形の文を表す際はよく使われる単語ですので、まずはここで現在完了で使われる代表的な表現を覚えておいて下さい。
since last year(=去年から) since then(=そのときから) since 1998(=1998年から) since I was a child(=私が子供の時から) |
② 経験用法
経験用法においては、過去から現在に至るまでに何回、「~したことがある」のかを表現するために様々な表現が用いられます。
before(=以前に) once(=一回、一度) twice(=二回、二度) three times(=三回、三度) four times(=四回、四度) many times(=何回も、何度も) |
・”never”
“never”については否定文の中で”not”の代わりに使う単語として考えてもらえれば良いかと思います。
意味としては、”not”を使うよりも”never”を使うほうが「一度も~したことがない」
という強い意味が出ます。
この”never”については、「have + 過去分詞」の過去分詞の前に置くことになります。
一つ、例文を挙げておきます。
I have never read the book.
(=私は一度もその本を読んだことがありません。)
・”ever”
”ever”は中学校レベルの文の中では、主に疑問文の中で使います。
この”ever”についても”never”と同様、「have + 過去分詞」の過去分詞の前に置き、意味としては「今までに」という意味になります。
これに関しても例文を1つ挙げておきます。
Have you ever been to Tokyo?
(=あなたは今までに東京に行ったことがありますか。)
③ 完了用法
完了用法では、動作、状態の起点よりはむしろ終点の方に重きが置かれますので、終点を強調する語句・表現が使われる場合が多いです。
・”just”
“just”については肯定文の中で用い、「ちょうど」という意味を表します。疑問文や否定文の中では使えません。
「今ちょうど、その動作・状態が終わった。」という意味を表すことが出来るわけですね。
この”just”についても、「have + 過去分詞」の過去分詞の前に置くことになります。
例文を挙げておきましょう。
I have just finished my homework.
(=私はちょうど、宿題を終えたところです。)
・”already”
”already”についても肯定文の中で用い、「もう、すでに」という意味を表します。疑問文や否定文の中では使えません。
「もう / すでにその動作・状態は終わってしまっている。」という意味を表すことが出来るわけですね。
この”already”についても、”just”同様、「have + 過去分詞」の過去分詞の前に置くことになります。
例文を挙げておきましょう。
He has already eaten lunch.
(=彼はもう、昼食を食べてしまいました。)
・”yet”
”yet”については疑問文・否定文の中で用い、疑問文の中では「もう」という意味、否定文の中では「まだ」を表します。疑問文と否定文では意味が変わることに気をつけないといけない単語ですね。
この”yet”については、疑問文であっても否定文であっても必ず文の最後に置きます
疑問部と否定文、1つずつ例文を挙げておきましょう。
I have not finished my homework yet.
(=私はまだ、宿題を終えていません。)
Have you finished your homework yet?
(=あなたはもう宿題を終えてしまいましたか。)
④ 完了形では使えない語句・表現
現在完了のみならず、完了形は時間の幅を表すことの出来る文法ですので、例えば「昨日だけ」の話や「先週だけ」の話は現在完了で表すことはできません。現在完了では必ず「○○から今まで」を表す時間の幅が無いといけないわけですね。
以下、現在完了の文では使えない表現をいくつか挙げておきます。
yesterday(=昨日) last week [year, night](=先週、昨年、昨晩) in 2015(=2015年に) ~ ago(=~前) When ~?(=いつ~?) |
※例えば"since two years ago"などのように、since等と組み合わせて、この辺の表現を無理やり使おうと思えば、文法的には一見正しそうな表現を作ることはできますが、
"since two years ago"はコミュニケーション上の表現や、会話的な用法としてはかなり「違和感」のある表現ですので、こうした表現は全く使われません。
「2年前から」と表現したいときは素直に”for two years”としましょう。
◆第5回:現在完了形と過去形の違い
これに関しては、これまでのお話の復習ですね。
・現在完了形・・・過去から現在までつながりのある動作・状態を表す場合に用いる。
・過去形・・・単に過去の話を表す場合に用いる。
という一言に尽きます。
これまで、ひたすら現在完了についてお話してきましたのでここで反対に、過去形についても確認しておきましょう。
過去形を使って表せるのは基本的には過去の一点、ある時点における①動作、②状態、③習慣です。
従って、例えば”yesterday”や”last Sunday”など、過去の1点を表す語句と共に文が作られる場合が多いというわけです。
以下、それぞれの簡単な例文を見ておきましょう。
① She was very busy last Sunday.
(=彼女は先週の日曜日は、忙しかったです。)
② I met Mary at the station at five thirty yesterday.
(=私は、昨日の5時半に、駅でメアリーに会いました。)
③ I often went to the beach when I was a boy.
(=私は子供のころ、よくその海岸に行きました。)
どの文も、現在完了の文とは違って、過去から現在までつながりのある文にはなっていないということに気をつけて下さい。
以上で現在完了形についてのお話は終わります。
次回は、現在完了形に関連して、少し応用的な内容のお話をします。
誌上授業 第2回 ―現在完了―(1)
前回に引き続き、誌上授業の第2回目をお送りします。
この誌上授業は簡単に言えばブログの上での授業ということです。
塾の授業、学校の授業の補助目的に使って頂ければと思います。
本授業のレベルとしては中学校の授業レベル~高校受験です。
高校受験における応用内容、発展内容は扱いますが高校内容の文法には基本的には触れません。
高校内容の文法についてはまた別の機会があれば触れたいと思いますが、中学内容の基礎からもう一度復習したいという高校生の皆さんには、ある程度は役立つ内容ではないかと思います。
各章、高校受験の応用内容については【応用】と記していますので、教科書内容の理解、定期テストに向けての学習の上ではこの【応用】の章は飛ばして頂いて構いません。
高校受験でも、特にハイレベルな高校を受験しようという人のみ、この【応用】の章を読んでもらえればよいのではないかと思います。
◆第1章:現在完了形とは
第2回の誌上授業では現在完了形を扱います。
現在完了形は公立の中学校であれば中学3年生の1学期ほぼ丸々使って学習する大きな学習テーマですので、「何となく文の形だけは覚えてる!」という中学生も多いのではないかと思います。
しかし、「現在完了形と過去形はどう違うの?」ですとか、「どういうときに現在完了形を使えばいいの?」ですとかまで、理解を深められている中学生の人は少ないのではないでしょうか。
また、実はこの現在完了形については、高校英語を学習していく上での大きな『入り口』の役割をしている内容と言えます。
当授業ではまさにその入り口と、少し高校英語の分野に入るくらいのところまで、お話できればと考えています。
◆第2章:現在完了形の文が表すもの
中学校の教科書レベルでも、現在完了形の文を習うと少なくとも3種類の意味(用法)を習うかと思います。
① 継続用法
② 経験用法
③ 完了用法
の3種類ですね。
習う順番は各教科書によって違いますが、3つどれも重要で、全て覚えておかないとなかなかテストででも点数が取れないものです。
ただ、これらに関しては中学生の皆さんもよく勉強しているようで、それぞれの用法の訳し方はよく覚えてくれているようです。
① 継続用法・・・「ずっと~している。」
② 経験用法・・・「~したことがある。」
③ 完了用法・・・「~してしまった。」
ですね。
こう見ると、それぞれの意味が全く違うのになぜ3つまとめて「現在完了形」と言えるのか、不思議に思う人もいるかもしれませんが、ここがまさに「現在完了形が表すものが何なのか」ということに関係してくるお話になります。
さて、英語には現在完了形以外にも現在形、過去形、未来形といろいろな形があり、それぞれの文の書き方も全く違ってくるというお話は皆さんも知っているかと思います。
言うまでもなく現在の話は現在形、過去(昔)の話は過去形、未来の話は未来形で書くというのがこれらの3つの原則ですが、そこで
では、現在完了形っていつの話をしてることになるの?
という疑問がまず浮かぶのではないでしょうか。
これについては図で確認してもらうのが最も分かりやすいかと思います。
これは私が中学3年生の人に現在完了形を解説するときにいつも用いる図です。
(人によっては「またこれか(笑)」と思う人もいるでしょう。)
中学3年生の段階で学習してきた過去形、現在形、未来形を数直線のようにまとめた上で、現在完了形がどこを表すのか、というのを図中に書き込んだものです。
もちろん、この図では左端が一番過去(昔)で、右端が一番未来ということになります。
つまり、左から右に時間が経過してくものと考えて下さい。
こう見ると、これまでに学習した過去形、現在形、未来形という形はそれぞれ過去の一点、現在の一点、未来の一点のみしか表せないということが分かってもらえるかと思います。(各黒丸のことですね。)
それでは、この3点を表す文だけで日常会話は成り立つでしょうか?
結論から言うと”No”ですね。
例えば
「オレ、2年間サッカー部に入ってるねん。」
「クミちゃんは去年からピアノを練習してるねん。」
などと言うような文ですね。(相変わらず関西弁の口語表現ですみません。)
これらの文ですと、先の文であれば文意から考えると2年前にサッカー部に入って、去年も部活をやっていたということになりますね。
「2年前にサッカー部に入部した」という話も、「去年も部活をやっていた」という話も当然、過去のお話ですね。
これだけであれば過去のお話だけですので、過去形で文を表せそうではあります。
しかし先の例文においてはどうやら過去の話だけでなく、「今も部活を続けている」という意味も同時に含んでいるようですね。
「2年前にサッカー部に入部し」て、「去年も部活をやってい」て、「今も部活を続けている」となると、過去の話も現在の話もどちらも混ざっているということになりそうです。
こうした文を1つの文できれいに書こうとすると、もちろん過去形では書けませんし現在形で書くことも難しくなってきます。
(接続詞を用いる書き方等はここでは省略します。)
現在完了形を使えば、まさにこの「『2年前にサッカー部に入部し』て、『去年も部活をやってい』て、『今も部活を続けている』」という文をきれいに作ることができます。
現在完了は過去から現在までの時間の幅を表すことが出来る文法であると言えます。
同様に、2つ目の文についても「『去年からピアノを練習し』始めて、今年に入ってもピアノの練習を続けていて、今も続けている。」という意味になります。
これも言うまでもなく、「過去から現在までの時間の幅」がある文であるということになりますので現在完了で表すことが出来る文であると言えます。
つまり、
現在完了の文は「昔も、今も、同じ状態である。 / 同じ動作が続いている。」という内容の文を表すときに用いる文法であるということです。
逆に、「単に今(現在)だけの話」や、「単なる過去の話」を表すときには使えません。
例えば
私は昨日、カレーを食べました。
という文は現在完了形を使って表すことはできません。
以上、現在完了形を使って表すことが出来る文 / 出来ない文があるということを理解して頂ければと思います。
◆第3章:現在完了形の文の形式
現在完了の文の形式も、皆さんよく覚えてくれています。
have + 過去分詞!
と皆さん、自信を持って答えてくれます。
これについてはまったくもって間違いではありません、まさにこれが正解です。
その他、気をつける表現、よく使う表現については次章で紹介しますので、ここでは基本的な現在完了形の文の形式を確認しておこうと思います。
それでは例文として、前章の日本語文2つを見ておきましょう。
まずはコテコテの関西弁の文を標準語になおしてから、英語を考えてみましょう。
①「オレ、2年間サッカー部に入ってるねん。」→「私は2年間、サッカー部に所属しています。」
I have been in the soccer club for two years.
「所属する」という意味の一般動詞もあるのですが、今回はbe動詞を使って表しました。
しっかりと「have + 過去分詞」という形になっていますね。
ちなみにbe動詞の過去分詞はbeenです。
もう一度、be動詞の活用を確認しておくと
原形・・・be
現在形・・・am, are, is
過去形・・・was, were
過去分詞・・・been
ですね。
「2年間」と言う表現は”for two years”という表現を使います、こうした表現については次回お話します。
②「クミちゃんは去年からピアノを練習してるねん。」→「クミは、去年からピアノを練習しています。」
Kumi has practiced the piano since last year.
クミちゃんの話ですので、文の最初はKumiから書き始めます。
そうすると、Kumiは三単現にあたる主語ですのでこの場合、have+過去分詞の中のhaveがhasになります。
また、「去年から」という表現を”since last year”としました。
これについても同様に、次回お話します。
新年度ですね!
いよいよ新年度となりました。新しい学校・学年にはもう慣れたでしょうか?
プログレスからもほとんどの生徒が第一志望に合格してくれてほっとしています。
あとは新しい環境でベストをつくしてください。
特に高校生は1年生だからといって決してサボらないでくださいね。
大学受験は高校受験以上に日々の努力が実を結びます。
学校の授業を絶対におろそかにしないで、3年間が受験勉強期間だという気持ちで高校生活を送りましょう。
新しく中学生になった人は・・・定期テストをがんばりましょう。
これも少しずつコツコツが大切です。学校のワークは宿題で出てなくても毎日少しずつ仕上げておきましょう。
英語の音読も大切です。お家の人に聞いてもらうのも良いでしょう。
スラスラ読めるようになるまで何回も音読しましょう。
ホームページにも、2017年度の入塾生の定期テストの結果チラシをアップしています。また、見ておいてくれれば嬉しいです。
みんな頑張ってくれてかなり成績を上げることが出来ました。
今年度もがんばりますのでよろしくお願いいたします!
中学2年生向けのお話(3)
前回の続きです、今回でこのテーマについてはおしまいです。
③ 一度、差をつけられてしまうとそれを取り戻すには大きな努力が要るということ。
これは勉強に限らず、何でもそうではないかと思います。
部活やスポーツでも、一度レギュラーを他の人に奪われたらまた取り返すのは本当に難しいことかと思いますし、
スポーツで一度怪我をしてしまうと怪我をしてしまう前の状態に戻るだけでも一苦労だと思います。
学習においても同じことは言えます。
例えば、学年順位50位の人が、「今回だけは定期テスト、手を抜いてしまおう。あきらめてしまおう・・・。」と言って一度、手を抜いてしまうとしましょう。
当然、学年順位は落ちるでしょう。
その子も例えば一度50位から100位まで落ちてしまったとすれば、そこからまた50位に戻るのは本当に辛い作業になります。
しかも、残念ながら100位から50位に成績が戻っただけでは、恐らくその子にとっても達成感はあまり得られないのではないかと思います。
かつて、50位を取ったことがある人が20位を取れば、それはもちろん大きな達成感を得ることができますが、かつて50位を取ったことがある人がまた50位を取ったからと言って、そう大きな達成感を得ることはできないものでしょう。
「一度サボってしまった故に、過去の順位を取り戻すには大きな労力が要る。
でも順位を取り戻したところであんまり達成感は得られない。何だか勉強する気が無くなるなあ。」
成績が落ちてしまう原因の一つは正にこうしたものが挙げられます。
全て身から出た錆と言ってしまえばそれまでなのですが、こうした悪循環が生まれる原因は正に『一度サボってしまった』ということです。
もちろん、いつでもどんなときでも定期テストに向かって本気で取り組めるというのが一番良いのですが、
もし、「サボってしまったな、成績を落としてしまったな」というときがあったとしても、
それを「取り戻す」という強い精神力を持つということが一番重要になってくるということなのでしょう。
④ 人は、急には変われないということ。
特に、『改善』という点においてはそうですね。
急にテストの点数、通知表の5段階評価が改善出来ればどんなに幸せなことかと思うかもしれませんが、
それは不可能であるが故に日々の積み重ねが必要であるということです。
残酷なお話をしますが、5段階評価の通知表であれば一般的には急に2段階上がるということはまず考えられません。
2年生の3学期に通知表「1」だったものが「3」になる、「3」だったものが「5」になるということは現実的にはあまり起こり得ない話です。
(もちろん、並々ならぬ努力をした人ならばそれも十分に起こりうることではありますが、それは本当に大変なことかと思います。)
現実的には、例えば今、通知表「1」がついているという場合は次は「2」に上がり、またその次にようやく「3」に上がるということが考えられるでしょう。
また、実際の中学生の皆さんはご存知のように、勉強内容で考えれば1年生の勉強内容よりも2年生の勉強内容の方が難しくなったように、
2年生の勉強内容よりも3年生の勉強内容の方がより難しくなります。
勉強内容はどんどん難しくなるのに、急に成績が良くなるということもあまり考えられません。
こういうお話をすると「もうおしまいだぁ~。」と諦めてしまいたくなるかもしれませんが、
高校入試は正に、こうした諦めたくなりそうな地道な努力をいかに積み重ねられるか、
途中で諦めずに努力し続けられるかが合否を分けると言っても過言ではありません。
まず「1」を「2」に、まず「2」を「3」に、もちろん成績を上げるためには今よりも一層の努力をしなければなりません。
この時期、ちょうど中学校2年生の皆さんはまさに学年末テストの直前の時期に差し掛かっているかと思います。
がんばるのは早速、今回のテストからです!地道に、コツコツがんばりましょう。
中学2年生向けのお話(2)
今回は前回にお話した各項目について詳しくお話しましょう。
① 受験は、人との競争であるということ。
「何を今さら言ってるの?」と思う人もいるかもしれませんが、受験は決められた募集定員の枠を点数で競ういわば「椅子取りゲーム」です。
高校受験では例えば募集定員が320人であれば320個の椅子を競って点数で勝負するということになります。
推薦入試になればその椅子が40個になったりします。
相手がいる競争ということになるので、そこでは当然、「自分がどれだけがんばったか。」ということも重要ですが、
それ以上に「他の人とくらべて、自分ががんばれているか。」というところが重要になってきます。
つまり、例えば自分が毎日100の量の勉強しているとしても、周りの人が120の量の勉強をしていたならば、それは不十分ということになるわけです。
そのときは自分も120の量、勉強して初めて互角に勝負できる状態、150できればようやく周りに差をつけられるということになります。
別の考え方をすれば、高校受験を含めた受験については、『合格』という以外に明確なゴールは無いということです。
500時間勉強すれば良いですとか、1000時間勉強すれば完璧!などというお話はありません。
更に言えば、人によって必要な勉強量は変わってくるということも言えます。
極端な例として、兵庫県の公立高校入試において、
通知表オール5の人(内申点250点中250点!)が内申点+筆記試験で、500点中270点取れれば合格できるA高校を志望したとすれば、
その人は実際に1日30分の受験勉強でも十分に合格できてしまうかもしれません。
しかしながら、通知表がオール2(この場合は通知表は250点中100点になりますね)
の人が同じく内申点+筆記試験で500点中270点取れれば合格できるA高校を志望した場合、筆記試験であと170点を取らないといけません。
これはおおむね筆記試験で全科目7割程度(100点満点換算すると70点程度)取らないといけないということとなり、
このためには恐らくは相当の受験勉強の時間が必要になるのではないかと思います。
② 特に高校受験では、内申点が合否を決める大きな要素になるということ。
こうしたお話をすると、「高校受験って不公平なんだね。」と言う人もいるかもしれませんが、
内申点とはそもそも、「どれだけ中学校のお勉強に真面目に取り組んだか。」にある程度は比例するものであると言えます。
すなわち、「多少、テストの点数が良くなくとも普段がんばっている子は評価してあげますよ。」というのがそもそもの内申点制度であると言えます。
公立高校の入試制度は、もちろん賛否はあるもののこうした内申点制度によって単に「勉強がよく出来るかどうか」のみを評価する制度ではないということが言えるのではないかと思います。
兵庫県の公立入試制度は、実に250 / 500が内申点を占め、これは他の都道府県よりも大きな割合となっています。
そういう点では、兵庫県の公立入試制度は単に頭の良さだけを測る試験ではないということが言えます。
先ほども申し上げましたように、兵庫県は内申点5割、当日の筆記試験5割の点数配分で公立高校の合否が決まります。
他の都道府県では内申点4割、当日の筆記試験6割という都道府県が多いようですので
兵庫県の公立入試制度は内申点の割合が他の都道府県とくらべてかなり高いということが言えます。
実に公立高校入試の半分が内申点で決まるということとなります。
この内申点は、正に通知表の5段階評価で計算されます(国語、数学、社会、理科、英語の5段階評価を合計して4倍した数値+技術家庭科、保健体育、美術、音楽の5段階評価を合計して7.5倍した数値)。
これだけでも内申点の重要性を理解してもらえるのではないでしょうか。
次回に続きます。
中学2年生向けのお話(1)
最近もウチの教室の先生と話をしていたことなのですが・・・
「兵庫県の公立高校入試って、『逆転』が出来ないよね。」
というお話です。
スポーツでも、勉強でも、確かに逆転、あるいは大逆転というのが存在することは確かです。
Youtubeにもバスケ(バスケットボール)の試合で、1点差、2点差で負けている試合、
残り時間数秒、最後に偶然相手ゴールめがけて遠投したところ、見事3点ゴールが決まりそのまま試合終了、大逆転勝利!なんていう試合の動画もありますし、
勉強における大逆転と言えば少し前に流行りましたね、「ビリギャル」という人の例が正に大逆転の例なんだろうと思います。
(もっとも、あのお話にはいろんな前提があるようではありますが。)
では、兵庫県の公立高校入試で「ビリギャル」が現れる可能性があるのかどうか。
これは残念ながら極めて可能性は低いと思います。
それはなぜか。いくつか理由があります。
① 受験は、人との競争であるということ。
② 特に高校受験では、内申点が合否を決める大きな要素になるということ。
③ 一度、差をつけられてしまうとそれを取り戻すには大きな努力が要るということ。
④ 人は、急には変われないということ。
などでしょうか。
次回以降、これらについて詳しくお話します。