中学2年生向けのお話(3)
前回の続きです、今回でこのテーマについてはおしまいです。
③ 一度、差をつけられてしまうとそれを取り戻すには大きな努力が要るということ。
これは勉強に限らず、何でもそうではないかと思います。
部活やスポーツでも、一度レギュラーを他の人に奪われたらまた取り返すのは本当に難しいことかと思いますし、
スポーツで一度怪我をしてしまうと怪我をしてしまう前の状態に戻るだけでも一苦労だと思います。
学習においても同じことは言えます。
例えば、学年順位50位の人が、「今回だけは定期テスト、手を抜いてしまおう。あきらめてしまおう・・・。」と言って一度、手を抜いてしまうとしましょう。
当然、学年順位は落ちるでしょう。
その子も例えば一度50位から100位まで落ちてしまったとすれば、そこからまた50位に戻るのは本当に辛い作業になります。
しかも、残念ながら100位から50位に成績が戻っただけでは、恐らくその子にとっても達成感はあまり得られないのではないかと思います。
かつて、50位を取ったことがある人が20位を取れば、それはもちろん大きな達成感を得ることができますが、かつて50位を取ったことがある人がまた50位を取ったからと言って、そう大きな達成感を得ることはできないものでしょう。
「一度サボってしまった故に、過去の順位を取り戻すには大きな労力が要る。
でも順位を取り戻したところであんまり達成感は得られない。何だか勉強する気が無くなるなあ。」
成績が落ちてしまう原因の一つは正にこうしたものが挙げられます。
全て身から出た錆と言ってしまえばそれまでなのですが、こうした悪循環が生まれる原因は正に『一度サボってしまった』ということです。
もちろん、いつでもどんなときでも定期テストに向かって本気で取り組めるというのが一番良いのですが、
もし、「サボってしまったな、成績を落としてしまったな」というときがあったとしても、
それを「取り戻す」という強い精神力を持つということが一番重要になってくるということなのでしょう。
④ 人は、急には変われないということ。
特に、『改善』という点においてはそうですね。
急にテストの点数、通知表の5段階評価が改善出来ればどんなに幸せなことかと思うかもしれませんが、
それは不可能であるが故に日々の積み重ねが必要であるということです。
残酷なお話をしますが、5段階評価の通知表であれば一般的には急に2段階上がるということはまず考えられません。
2年生の3学期に通知表「1」だったものが「3」になる、「3」だったものが「5」になるということは現実的にはあまり起こり得ない話です。
(もちろん、並々ならぬ努力をした人ならばそれも十分に起こりうることではありますが、それは本当に大変なことかと思います。)
現実的には、例えば今、通知表「1」がついているという場合は次は「2」に上がり、またその次にようやく「3」に上がるということが考えられるでしょう。
また、実際の中学生の皆さんはご存知のように、勉強内容で考えれば1年生の勉強内容よりも2年生の勉強内容の方が難しくなったように、
2年生の勉強内容よりも3年生の勉強内容の方がより難しくなります。
勉強内容はどんどん難しくなるのに、急に成績が良くなるということもあまり考えられません。
こういうお話をすると「もうおしまいだぁ~。」と諦めてしまいたくなるかもしれませんが、
高校入試は正に、こうした諦めたくなりそうな地道な努力をいかに積み重ねられるか、
途中で諦めずに努力し続けられるかが合否を分けると言っても過言ではありません。
まず「1」を「2」に、まず「2」を「3」に、もちろん成績を上げるためには今よりも一層の努力をしなければなりません。
この時期、ちょうど中学校2年生の皆さんはまさに学年末テストの直前の時期に差し掛かっているかと思います。
がんばるのは早速、今回のテストからです!地道に、コツコツがんばりましょう。
中学2年生向けのお話(2)
今回は前回にお話した各項目について詳しくお話しましょう。
① 受験は、人との競争であるということ。
「何を今さら言ってるの?」と思う人もいるかもしれませんが、受験は決められた募集定員の枠を点数で競ういわば「椅子取りゲーム」です。
高校受験では例えば募集定員が320人であれば320個の椅子を競って点数で勝負するということになります。
推薦入試になればその椅子が40個になったりします。
相手がいる競争ということになるので、そこでは当然、「自分がどれだけがんばったか。」ということも重要ですが、
それ以上に「他の人とくらべて、自分ががんばれているか。」というところが重要になってきます。
つまり、例えば自分が毎日100の量の勉強しているとしても、周りの人が120の量の勉強をしていたならば、それは不十分ということになるわけです。
そのときは自分も120の量、勉強して初めて互角に勝負できる状態、150できればようやく周りに差をつけられるということになります。
別の考え方をすれば、高校受験を含めた受験については、『合格』という以外に明確なゴールは無いということです。
500時間勉強すれば良いですとか、1000時間勉強すれば完璧!などというお話はありません。
更に言えば、人によって必要な勉強量は変わってくるということも言えます。
極端な例として、兵庫県の公立高校入試において、
通知表オール5の人(内申点250点中250点!)が内申点+筆記試験で、500点中270点取れれば合格できるA高校を志望したとすれば、
その人は実際に1日30分の受験勉強でも十分に合格できてしまうかもしれません。
しかしながら、通知表がオール2(この場合は通知表は250点中100点になりますね)
の人が同じく内申点+筆記試験で500点中270点取れれば合格できるA高校を志望した場合、筆記試験であと170点を取らないといけません。
これはおおむね筆記試験で全科目7割程度(100点満点換算すると70点程度)取らないといけないということとなり、
このためには恐らくは相当の受験勉強の時間が必要になるのではないかと思います。
② 特に高校受験では、内申点が合否を決める大きな要素になるということ。
こうしたお話をすると、「高校受験って不公平なんだね。」と言う人もいるかもしれませんが、
内申点とはそもそも、「どれだけ中学校のお勉強に真面目に取り組んだか。」にある程度は比例するものであると言えます。
すなわち、「多少、テストの点数が良くなくとも普段がんばっている子は評価してあげますよ。」というのがそもそもの内申点制度であると言えます。
公立高校の入試制度は、もちろん賛否はあるもののこうした内申点制度によって単に「勉強がよく出来るかどうか」のみを評価する制度ではないということが言えるのではないかと思います。
兵庫県の公立入試制度は、実に250 / 500が内申点を占め、これは他の都道府県よりも大きな割合となっています。
そういう点では、兵庫県の公立入試制度は単に頭の良さだけを測る試験ではないということが言えます。
先ほども申し上げましたように、兵庫県は内申点5割、当日の筆記試験5割の点数配分で公立高校の合否が決まります。
他の都道府県では内申点4割、当日の筆記試験6割という都道府県が多いようですので
兵庫県の公立入試制度は内申点の割合が他の都道府県とくらべてかなり高いということが言えます。
実に公立高校入試の半分が内申点で決まるということとなります。
この内申点は、正に通知表の5段階評価で計算されます(国語、数学、社会、理科、英語の5段階評価を合計して4倍した数値+技術家庭科、保健体育、美術、音楽の5段階評価を合計して7.5倍した数値)。
これだけでも内申点の重要性を理解してもらえるのではないでしょうか。
次回に続きます。
中学2年生向けのお話(1)
最近もウチの教室の先生と話をしていたことなのですが・・・
「兵庫県の公立高校入試って、『逆転』が出来ないよね。」
というお話です。
スポーツでも、勉強でも、確かに逆転、あるいは大逆転というのが存在することは確かです。
Youtubeにもバスケ(バスケットボール)の試合で、1点差、2点差で負けている試合、
残り時間数秒、最後に偶然相手ゴールめがけて遠投したところ、見事3点ゴールが決まりそのまま試合終了、大逆転勝利!なんていう試合の動画もありますし、
勉強における大逆転と言えば少し前に流行りましたね、「ビリギャル」という人の例が正に大逆転の例なんだろうと思います。
(もっとも、あのお話にはいろんな前提があるようではありますが。)
では、兵庫県の公立高校入試で「ビリギャル」が現れる可能性があるのかどうか。
これは残念ながら極めて可能性は低いと思います。
それはなぜか。いくつか理由があります。
① 受験は、人との競争であるということ。
② 特に高校受験では、内申点が合否を決める大きな要素になるということ。
③ 一度、差をつけられてしまうとそれを取り戻すには大きな努力が要るということ。
④ 人は、急には変われないということ。
などでしょうか。
次回以降、これらについて詳しくお話します。
誌上授業 第1回 ―関係代名詞―(8)
前回のお話の続きです。
今回がようやく、最終回となります。
◆第8章:【応用】所有格の関係代名詞
第7章で、関係代名詞の"who"と"which"の代名詞としての格変化、すなわち主格、所有格、目的格をご紹介しました。
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
who whose whom
which whose which
そして、これまでに主格の関係代名詞の文、目的格の関係代名詞の文(”whom”も含む)についてご紹介してきましたが、
今回は真ん中の所有格の関係代名詞の文を作ってみましょう、所有格の関係代名詞を使ってみましょうというお話です。
所有格の関係代名詞を使う文については、「所有格の名詞、あるいは代名詞を関係代名詞を使って表す。」ということぐらいが基本原則です。
また、その所有格の名詞、代名詞がもう一方の文中の名詞とイコール関係になっているということです。
少しわかりにくいかと思いますので例を挙げて説明します。
I have a friend. (=私には友達がいます。)
His father is French. (=彼のお父さんはフランス人です。)
この2つの文を見たときに、まさか”a friend”と”father”はイコール関係にはなりませんね。
イコール関係になっているのは”a friend”と”His”の方ですね。
つまり、”His”という所有格の代名詞がもう1つの文中の”a friend”とイコール関係になっていると言えます。
この場合、”His”の方を所有格の関係代名詞である”whose”に置き換えて、1つの文にまとめることが出来ます。
つまり
I have a friend whose father is French.
(=私には、お父さんがフランス人である友人がいます。)
また、所有格の関係代名詞は先行詞がモノである場合もwhoseを使います。
だから先に挙げた関係代名詞の活用表の中でも
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
which whose which
という奇妙な活用になっていたわけですね。
I bought a book. (=私は本を買いました。)
Its cover is beautiful. (=その表紙は美しいです。)
イコール関係になっているのはそれぞれ下線部の語ですね。
これも関係代名詞の”whose”を使って
I bought a book whose cover is beautiful.
とまとめることが出来ます。
これを以って、所有格の関係代名詞についてのお話は終わりです。
実は所有格の関係代名詞というテーマについては、"of which"という表現を使って表す書き方など、お話したいことはまだいくつかありますが、
中学校レベルではあまり扱われないということもありますので今回のお話はここまでとします。
以上で、関係代名詞についてダラダラとお話してきました今回の授業もおしまいです。
本当にこれだけ分、実際の塾の授業でお話しようと思えば2、3回分の授業になってしまいますね(笑)
内容としては基礎内容から高校受験の発展、高校英語の入り口くらいまでのお話をしてしまいました。
相変わらず長ったらしい文章になってしまいましたが、最後までお読みいただいた方がもしいらっしゃれば改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。
誌上授業 第1回 ―関係代名詞―(7)
相も変わらず、前回までの続きです。今回からは応用内容に入ります。
◆第7章:【応用】目的格の関係代名詞
今回からは、関係代名詞のお話の応用内容となります。
レベルで言えば難関高校受験レベル~高校内容の英語初級レベルです。
従って、偏差値60未満の公立高校を受験するという方にはもしかすると必要のないお話かもしれません。
中学校の定期テストにおいても出題される可能性は限りなくゼロに近いです。
さて、目的格の関係代名詞については第4章でお話しましたが、第4章でこんなことを申し上げたかと思います。
『先行詞が”The girl”、つまり人なので関係代名詞は"who"が使えると思うかもしれませんが、今回は関係代名詞"that"を使います。
どうして"that"を使うのか。それは"who"が使えないからです。それはそういうもんなのです。
(ではどうして"who"が使えないのか、そこまで気になる人は『【応用】目的格の関係代名詞』の章をご覧ください。)』
今回は正に、このお話から始めましょう。
さて、この章を読んでいる皆さんは名詞 / 代名詞の格変化はご存知でしょう。
つまりは主格、所有格、目的格ということです。所有代名詞については今回は省略します。
例えば、実際の人の名前や、普通名詞で見ると主格、所有格、目的格の変化は
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
Tom Tom’s Tom
my sister my sister’s my sister
my brothers my brothers’ my brothers
などです。
この格変化については代名詞のお話になってしまいますので、ここではあまり詳しくはお話しませんが、
重要なのは、"who"や"which"という関係代名詞についてもこうした格変化が存在するということです。
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
who whose whom
which whose which
"which"の所有格についても、"whose"という関係代名詞が使えます。
"who"についても是非、活用を全部覚えておいて下さい。
特に、"whose"という単語についてはこの表を覚えておくと
Whose bike is this?
などの文で出てきた"whose"という単語もその正体がわかりますね。
そして、関係代名詞というお話で申し上げると、第4章で扱った目的格の関係代名詞の文では関係代名詞についても目的格のものを使わないといけなかったということです。
例えば、第4章のこの文で見てみましょう。
The girl that I met yesterday is Miki.
この文においては関係代名詞は"that"しか使えません、そういうものです。
と半ば無理やり?に説明してしまいましたが、これも"who"という単語の格変化をしっかり理解していれば
The girl whom I met yesterday is Miki.
という文が正しいことが分かります。
関係代名詞の後に主語、動詞が続く目的格の関係代名詞の文で、特に先行詞が人を表す語の場合は関係代名詞は"who"では無くて"whom"を使うということが重要です。
また、先行詞がモノを表す語の場合は関係代名詞は"which"がそのまま使えます。
これは"which"の格変化が主格と目的格で同じ"which"という形であるからです。
主格(~は / ~が) 所有格(~の) 目的格(~に、~を)
which whose which
でしたね。
つまりは、先行詞がモノのときは第2章で扱った主格の関係代名詞の文でも第4章の目的格の関係代名詞の文でも同じ"which"を使えるということです。
よって、主格、目的格の関係代名詞の文においては先行詞が人を表す語であるときのみ、その使い分けに気をつけましょうということです。
余談
先に説明したとおり、目的格の関係代名詞を使った文において、先行詞が人を表す語であるときは関係代名詞は"whom"を使うということでしたが、
口語(話し言葉)においては実は最近は"whom"という単語はもはや使われなくなってきているという調査結果もあります。
ご存知の通り、もちろん日本語にも話し言葉と書き言葉があり、私たちは普段から何気なく使い分けていることでしょう。
同様に英語にも、話し言葉と書き言葉の区別は存在し、きっちりとした書き言葉では"whom"という単語はまだ使われてはいるようですが、
話し言葉では"whom"ではなく普通に"who"を使う場合が増えてきているようです。
しかしながら、日本で習う英語はその賛否はともかくとして書き言葉を中心に習うことになりますので、
「会話では使わへんもん!」と言って"whom"を使うべき文で"who"を使ってしまうとテストや入試などでは不正解とされてしまいます。
(学校の定期テストでも、話し言葉で解答を書くと先生に怒られますよね(笑))
一応はこうした「変化する言語」としての英語の性質も知識として知っておいてもらいつつ、
学校の勉強レベルでは「求められている答え、問われている答え」をしっかりと答えるという姿勢もまた、重要であるといえます。
応用編についてはもう1回分、お話しましょう。
誌上授業 第1回 ―関係代名詞―(6)
またまた、前回までの続きです。基本内容の章は今回までです。
これまでの第1章から第5章までのお話が、おおむね中学校レベルの基礎内容になるかと思います。
最後に関係代名詞の文の英作文、つまり関係代名詞を使って英語の文を一から完成させてみましょうという練習をしましょう。
◆第6章:関係代名詞を使った文の英作文
例題① 次の日本語を英文で表しなさい。
「ホワイト先生(Mr. White)は、オーストラリアから来た先生です。」
こうした問題を考える際に、もちろん大まかな文構造を頭のなかですぐに思い浮かべることが出来れば、関係代名詞の考え方がしっかり身についていると言えるのですが、実際にはなかなか難しいのではないかと思います。
では、こうした日本語を英語に直すために、重要なポイントは何でしょうか。
それは「日本語でみた主語、述語」です。
と言うと「先生はまーたそういう文法用語を使って・・・。」という人がいますが、よく見て下さい、「日本語の主語、述語」です。
何となく国語のお話になりそうですので、あまり詳しいお話はここでは省きますが日本語(国語)の主語、述語については小学校で学習したことですね。
主語とは「~は、~が」にあたる部分(正確には文節)、述語は「~だ、~です」にあたる部分のことです。
それでは、純粋に日本語の文として、先の文を見てみるとどうでしょうか。
「ホワイト先生は、オーストラリアから来た先生です。」
この文の日本語における主語はもちろん
「ホワイト先生は」
の部分、そして述語は
「先生です」
の部分ですね。
これらの主語、述語だけで文を作ると
「ホワイト先生は先生です。」
「当たり前やん!」というツッコミは置いておいて、これが日本語の文において最も根本的な構造である主語、述語のみの文です。
それでは、残りの「オーストラリアから来た」という部分は何なのか。
これはいわゆる修飾語というやつですね、そして被修飾語は「先生です」の部分です。
被修飾語というのは「オーストラリアから来た」の部分が、どの文節を修飾しているのかを表す語ですね。
こうして、日本語で考えると
主語=「ホワイト先生は」
述語=「先生です」
修飾語=「オーストラリアから来た」(述語の「先生です」を説明している)
という日本語の構造がつかみ取れます。
「あのさあ、英語の文作りたいのに国語の文法の話してどうするん?」
という人、あわてずに(笑)
今回わざわざ、国語のお話を持ち出したのは
英語の関係代名詞を使って人 / モノを説明する部分というのは、日本語で言えば修飾語にあたる部分である。
ということを理解してもらうためです。
つまり、これから英語で文を作るときに、関係代名詞を使って書く部分というのは修飾語=「オーストラリアから来た」の部分であるということです。
それでは先行詞はどれにするのか、それは日本語で言えば被修飾語にあたる部分です。
先の例では被修飾語は、「先生です」の部分でした。
要するに、英語の関係代名詞と先行詞というのは、日本語での修飾語、被修飾語であると言っても過言ではないということです。
これを踏まえて、先の例で英文を作ってみましょう。
「ホワイト先生は、オーストラリアから来た先生です。」
修飾語にあたる部分を関係代名詞を使って説明し、被修飾語を先行詞にするという構造は見えてきたかと思いますがそれを実際の英文にする場合は、修飾語、被修飾語の部分から考えるのではなく、日本語における主語、述語の部分から考えてみると良いかと思います。
この日本語文では、
主語=「ホワイト先生は」
述語=「先生です」
でした。つまり「ホワイト先生は先生です。」という文を最初に作ります。
Mr. White is a teacher.
中学1年生でも書ける文です。
さてここから、改めて先ほどの修飾語(関係代名詞を使って書く部分)と被修飾語(先行詞)の構造を確認しておくと
修飾語=「オーストラリアから来た」
被修飾語=「先生です」
でしたね。
従って、「先生です」にあたる”a teacher”を先行詞として、その後に関係代名詞を置きます。
今回は人にあたる”a teacher”が先行詞になりますので主格の関係代名詞の文であれば”who”を使えますが目的格の関係代名詞の文では”who”は使えません。
もちろんこの段階で判断できればたいした実力の持ち主であるということがいえるのですが、難しければ無理にここで判断する必要はありません。
よって関係代名詞はいったん、”that”を使っておきましょう。
Mr. White is a teacher that [ オーストラリアから来た ].
ひとまず、日本語で大まかな構造を書いておきます。
さて、もちろん [ オーストラリアから来た ] という部分も英語に直さなければいけませんが、これについては [ オーストラリアから来た ] のはまさに先行詞の”a teacher”その人ですから今回は関係代名詞のあとにすぐ、動詞をつなげれば良いことになります。
文を完成させると
Mr. White is a teacher that [ comes from Australia ].
ですね。
もちろん英文で答える段階では [ ] は書かなくても良いですので
Mr. White is a teacher that comes from Australia.
となります。
“that”のあとに置いた動詞(”comes”)に「三単現のs」がついているのは大丈夫ですね。
先行詞が”a teacher”だから(三人称単数)だからです。
更に、この文は結果的には関係代名詞のあとにすぐ動詞が続く主格の関係代名詞の文であることが分かりましたので関係代名詞の”who”が使えることがわかります。
もちろん”that”のままでも構いませんが、”who”を使うほうがより良いかと思いますのでここは”who”をつかって
Mr. White is a teacher who comes from Australia.
とする方がよいことが分かりますね。
もう一つ、例題を見ておきましょう。
例題② 次の日本語を英文で表しなさい。
「これは、私が昨日受け取った手紙です。」
日本語の主語、述語の関係と修飾語、被修飾語の関係を見ると
主語=「これは」
述語=「手紙です」
修飾語=「私が昨日受け取った」
被修飾語=「手紙です」
という構造ですね。
文全体の述語は明らかに「手紙です」になりますので「私が」を主語としてしまうと、主語、述語の関係が「私が手紙です。」になってしまいます。これはマズいですね。
また、修飾語というのはふつうは一文節単位で考えますが、今回は
修飾語=「私が昨日受け取った」
という風に、複数の文節をまとめて修飾語と考えましょう。
国語で言えば修飾部という考え方に似ていますね。
それでは英語に直していきましょう、まずは主語と述語からですね。
This is a letter. (これは、手紙です。)
ここまでは簡単な文です。
そして、被修飾語を先行詞にして、その後に修飾語である「私が昨日受け取った」の部分を関係代名詞を使って作ります。
今回、先行詞は”a letter”になりますので「モノ」を表す語です。従って関係代名詞は主格、目的格であってもwhichが使えそうですね。
This is a letter which [ 私が昨日受け取った ].
文構造としてはこんな感じです。
それでは、[ ]内も英語に直してみましょう。
This is a letter which [ I received yesterday ].
[ ] 内については、『昨日』のお話になっていますので過去形を使う必要があります。
これは、もとの”This is a letter”の部分が現在形であっても、過去形にする必要があります。
よって
This is a letter which I received yesterday.
が正解です。
今回扱った文については本当に基本的な文ですので、定期テストレベル、更には高校入試レベルになると当然ながら更には発展的な問題も出されます。
しかし、難しい問題であっても今回ご紹介した解き方は十分に活用してもらえるかと思います。
難しい問題だからと言って、「何か難しい解き方があるはずだ・・・。」と考えるのではなく、難しい問題ほど、より「基本に忠実に」解けないかと考えてみることはむしろ重要なのではないかと思います。
今回までの内容が、一通りの関係代名詞の基本的な文法内容の説明になります。
次回以降は、応用内容となりますのでハイレベルな高校を受験しようと考えている高校受験生の方、あるいはもうすでに高校生でいらっしゃる方のみご覧頂ければと思います。
恐らくは一般的な公立中学校の定期テストレベルでは出題はされないと思います。